「智恵子抄」の足跡を訪ねて

岩手県の高村光太郎記念館

詩集「智恵子抄」を初めて読んだのは学生時代でした。純愛の美しさとともに、高村光太郎が紡ぎ出す詩に魅了されました。その時から、私にとって「智恵子抄」は特別な詩集となり、何度も読み返しては好きなフレーズを口ずさみました。

高村光太郎の記念館が岩手県にあることを知った私は、ある日、一人きりで訪ねることを思いつきました。晩年を過ごした岩手県花巻市にあり、市街地からは遠く離れています。山深く、自然が豊かなところで、最期まで暮らし続けた山荘も保存されており、愛妻を亡くした高村光太郎の精神世界が垣間見えるようでした。

福島県の智恵子記念館

「智恵子抄」のモデルとなった高村智恵子は福島県で生まれました。今でも生家が保存されており、智恵子記念館が建てられています。かねてより訪れたいと思っていましたので、よく晴れた日に電車を乗り継いで訪れました。智恵子が切望し、光太郎が詩に残した安達太良山が青空に映えていました。高村光太郎記念館と智恵子記念館に足を運び、夫婦でいながら、別々の名を持つ記念館が存在することへの寂しさを感じました。けれど、あの世で過ごす二人は微笑んでいるのでしょうか。縁のある土地に対する感謝を込めて。

二つの記念館を訪れて、さらに詩集への想いが深くなりました。